Blossom - サキ×桃歌 お題3「君のバイバイなんて信じない」
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桃歌チャンと出会ってから、一体どれくらいのことが変わっただろうか。
勿論、彼女だけではなくて、一年の部員の影響もあるけれど、たくさんの変化があったように思う。
あまり積極的になれなかった、三年との関係の問題も、桃歌チャンのおかげで向き合う気になれた。
彼女が能動的に俺たちのことを変えようとしてくれたことは少ないけれど、それでも確実にその影響力は大きかった。
隼なんて最近角が丸くなってるし、水瀬は女に汚くなくなった。琴は変な虚勢張らなくなって、みんな良い方向に変わってきてる。俺が思うに、それは桃歌チャンのおかげだ。
彼女と出会った瞬間から、何かが変わった。振り返れば振り返るほど、そう確信できる。
俺たち二人の中で、まだ始まったばかりだから、別れなんて考えもしないけれど、きっとそれが来るのならば、彼女と出会うことで変わったこと以上に、変わることは多いだろう。
何故ならば、もう既に常に彼女の存在を想わずにはいられないほどになってしまっているから。
彼女と別れることになるならば、それがたくさんの変化を及ぼすと言ったが、それはつまり、別れたくない、ということだ。
桃歌チャンとの別れなんて、考えたくもない――。
本当ならば、毎日、帰り道で別れるのだって、辛いというのに。
そして、彼女もそう思ってくれていたら、なんてことすら思う。
桃歌チャンは、俺が何よりも好きな相手である以前に、一人のただの女の子なのに、彼女の気持ちについてあれこれ期待ばかりしてしまう。
末期だ、と隼にもよく言われる。自分でもそう思う。
恋は盲目――それ以上に俺はバカだ。何故ならば、彼女の何もかもが好きで、欲しくて、何もかもが嬉しい。
けれどやはり、欲というものはあるわけで。
それがどれ程のものかと言うと――。
例えば、どうしても桃歌チャンが俺のことを嫌いになって、別れようとしても、そのことを絶対に信じたくない、というくらいに。
多分そうなったときの俺は、誰から見ても惨めなものだろう。
でもきっと、一部の人には見えてしまう。自分に自信があるような男に。
元々、そんなもの持ち合わせてなんていなかった。余裕や自信があるように振舞っているつもりもなくて、ただの虚勢だと自分でもわかっていた。
彼女を一生惹きつける自信なんてないんだ。だから、別れを信じたくなくても、俺は縋りつくようなことしかできないだろう。
……なんて、こんな想像を本人に言ったら、怒られちゃうだろうな。
何よりも優しい彼女だから、想像でも苦しいのが、嫌だと言ってくれるに違いない。
それだけは、自信が持てる。桃歌チャンは、優しいから。
だから、今だけは、彼女は俺を悲しませることはしないと信じて、君のバイバイなんて、信じないことにするんだ。
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